狂愛〜虎を照らす月〜

そんな中、馴染みの顔に話しかけられる。

「これはこれは、オーナー。
本日はわざわざご足労頂きありがとうございます。
お初にお目にかかります。奥様。
田崎勝己(たざきかつみ)です。」

少し小さな声で、深月に自己紹介した。


深月は、俺を見上げる。


「北の情報の田崎の若頭だ」
俺は深月にそっと耳打ちした。


俺達が結婚したとき、田崎は奥さんの出産と被って挨拶に来れなくて、電報とすごいお祝いの品を送ってくれた。


深月も覚えているはずだ。

「あ、その節はどうもありがとうございます。素敵なお祝いもいただきまして。
田崎さんも、おめでとうございます。
妻の深月です」

深月は、やはりわかったらしく、にこやかに挨拶した。


「いえいえ。こちらこそ!
にしても、いやぁ。これは。噂は耳にしておりましたが、想像以上でした。
オーナー。良かったですね。本当に」

田崎は、自分の事みたいに嬉しそうだ。
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