パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 最後は絞り出すように聞こえたその声を、信じたくなる自分を戒める。

「そんなの信じられません。婚約者の方と結婚していないんですか。うまくいかなかったから後継者が必要なんですか? でも残念ですが娘ですよ」

 自嘲気味の笑みとともに、辛辣な言葉が次々と溢れるが、恭弥さんはそれをすべて受け止めるようにただ聞いていた。

 あの日、妊娠がわかり伝えようと思った時、テレビでみたお似合いのふたりの映像がいまでも鮮明に思い出される。

 辛くて、胸が張り裂けそうなほど痛くて、それでもお腹にいた弥生のために私は前を向いて生きてきた。
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