君に、振り向いてほしいから
「でも!ひとりで外に出たら危ないでしょ」

「ごめんなさい」

「すずな、良かったら、このあと私がななほちゃんと一緒にいようか?」

ななほちゃんの顔がぱあっと明るくなる。

それを見たすずなは、嬉しそうに私を見た。

すずなにもついてきてもらって、私からの誕生日プレゼント選んでもらおう。

「じゃあ、朝陽、頼んでも良い?」

「良いよ。そのかわり、すずなも来てね」

三人でトイレを出て、目指していた雑貨屋さんに入る。

好きなものを選びに行ったすずなを見届け、ななほちゃんを見る。

彼女も不思議そうに私を見ていた。

「朝陽ちゃん、どうしてすずを選びにいかせたの?」

「う〜ん、すずなに選んでもらおうと思って」

ななほちゃんは不思議そうに首を傾げつつも、小さく頷いた。

「お〜い、朝陽〜!選べたよ」

戻って来たすずなの手には、ピンク色の抱き枕が握られていた。

抱き枕を受け取り、色違いの抱き枕を棚から取ってレジに向かった。

色違いでななほちゃんにもあげよう。

モデル頑張ってるから……。

ラッピングもしてもらってお金を払い、ふたりのところに戻る。

もしかしたら囲まれてるかも……。

案の定、二人の周りには人だかりが出来ていた。

ふたりの横へ行き、周りの人たちに小さく微笑みかける。

「朝陽」

「は〜い、今プライベートですから、お引き取りくださ〜い」

集まっていた人たちは残念そうな顔をして去っていった。
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