君に、振り向いてほしいから
「朝陽、ようこそ満珠学園へ!」

「待ってましたよ」

お兄ちゃんに荷物を預け、体育館へ向かった。

周りにも、同じような生徒がたくさんいる。

前の方で黄色い悲鳴があがった。

誰……?

「ソラだ!」

ソラ……?誰だろう?

後ろからすずなが近寄ってくる。

「おはよ、朝陽。似合ってるね〜」

「おはよ、すずな。ソラって誰?」

「朝陽、知らないの?」

小さく頷くと、すずなは大きく目を見開いた。

そうしていても可愛いいんだから仕方がない。

すずなは私が知っている中で一番可愛いと思う。

「ソラはね、私と同じモデルだよ」

「へぇ〜」

すずなの声を聞いたのか、近くにいた女の子が振り向いた。

途端、目が大きくなる。

「すずちゃんだ〜!」

その声に、ソラの周りに集まっていた人たちがすずなのほうに駆け寄ってくる。

すずなの名前を連呼しながら、すずなに人が集まっていく。

ソラをちらりと見ると、彼は嬉しそうに微笑みながらすずなを見ていた。

ばちりと目が合う。

優しく微笑まれ、思わず視線をそらした。

「朝陽、助けてっ」

すずなの方を見ると、彼女は百人を超える人たちに囲まれていた。

人混みをかき分け、すずなの手を掴む。

「すずな、こっち!」

すずなと二人で校舎の影に隠れる。

学校でもすずなのファンがいるなんて……。

大変になりそう……。

「ねえ、すず。話があるんだけど」
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