君に、振り向いてほしいから
入ってきたお兄ちゃんとお姉ちゃんが、厳しい目で宙を見た。

宙が押し黙った。

どうして、ここに……?

「周りが話してるのを聞いたんだ」

「付いてきてみれば、案の定変なことを言ってるじゃないですか」

にしても……。ソラとすずとカナタでアイドルグループ?

人気出そうだな。

ずっと黙っていたすずなが私を振り返り、肩を掴んだ。

「朝陽、朝陽も応募しなよ、アイドルグループ!」

「でも、まだ決まったわけじゃないし……」

「ううん、もうマネージャーには連絡したよ。OK貰えたし、朝陽ちゃんも応募してよ」

宙が優しく微笑み、教室を出ていった。

そうだ、入学式行かなきゃ!

すずなと体育館へ行き自分の席に座る。

名前を呼ばれ、立ち上がった瞬間、後ろからたくさんの視線が突き刺さった。

怖い……。

すずながそっと私の手を握ってくれた。

手を握り返し、なんとか耐えることができた。

入学式が終わり、みんなに続いて出口に向かう。

出ようとしたとき、男の人が私の前に立ちはだかった。

リーダーと思われる人が口を開いた。

「ねえ、君、nightに興味ない?」

night?

nightなら、お姉ちゃんがqueenをしているグループだよね。

どうして、私に?

彼の後ろからお姉ちゃんが出てくる。

「朝陽」

「お姉ちゃん!」

思わず声が出た。
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