100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
助けを求めて彼を見たが、自ら罠にはまりにきたとでも言いたげにニヤリと笑われた。
「めでたいさー。俺らの中で和葉が結婚一番乗りか」
「和葉だけは結婚できないと思っていたのに」
「パイロットを連れてくるとは大したもんさー」
金網に肉や野菜をのせながら従兄弟たちが口々に言い、弟は「いつ結婚するの?」と余計な質問をしてくる。
「みんな一旦、落ち着こう。あのね、理解しがたいと思うけど、婚約しても結婚はしな――」
「和葉さんと相談して決めます」
結婚はしないと言おうとしたのに、すかさず五十嵐に遮られ、父の大きな声にも邪魔される。
「おかー、肉が焼けたのに婿さんのビールがないさー」
「今買いに行ってる。お婿さんを差しおいて、先に飲まないでよ」
そうこうしていると兄ふたりが大量の肉とビールを抱えて戻ってきて話の輪に交ざり、叔母が焼けた肉を取り皿にひょいひょいと入れながら、最近テレビで見たというウェディング特集について話しだす。
「羽田空港に結婚式場があってスカイウェディングっていうのができるんだって。新郎新婦が操縦席に座って記念撮影するのが素敵だった。和葉たちにぴったりさー」
(仕事でいつもコックピットに入っているよ。そのプランはいらない。というか、職場の知り合いに見られるかもしれないから空港ウェディングは絶対に嫌。結婚式はなくていいけど、するならふたりきりで海外が……ん?)
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