100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
そのたびにどうしてなのかがわからず困惑した。
(理由が知りたい。もし、五十嵐さんも私を好きだというのなら……)
すでに走り出している機体に正式に離陸許可を出し、滑走路から大空に飛び立ちたい。
逃げたいほどの動悸に耐えながらも目を合わせ、問いかけたというのに、スッと視線を逸らされた。
答え方に迷っているような数秒の間が空いて、聞いたことを後悔する。
(フラれそうな予感。そうだよね。私のどこに惚れるというのよ……)
やがて五十嵐が言葉を選びながら慎重に話しだす。
「和葉と一緒にいると、パイロットとして少しはマシになれそうな気がする。俺に欠けている部分を、お前が持っているからだろう」
「へ?」
身構えていたのに、恋愛感情の有無については触れられず拍子抜けした。
「欠けている部分ってなんですか?」
「それは……いつか話す」
手を繋がれて引っ張られ、歩みを促された。
大きな手の温もりに恋心を刺激されたが、話せないことへのごまかしだと思うと喜べない。
(いつかっていつ? 気になるから今、聞かせてほしいのに)
真顔で進む彼をチラッと見て、音に出さずにため息をつく。
その心の奥深くに重たいものがある気がして、無理に聞き出すことはできなかった。

* * *

和葉の実家を訪ねた翌週、五十嵐は国際線に乗務していた。
三日前に羽田を発ってニューヨークで一泊し、復路便で飛んだのは十時間ほど前になる。
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