100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「つまらない返しだな。日本が見えてきたぞ。和葉ちゃんへの土産はなににしたんだ?」
眉根を寄せた五十嵐が、前方に逸らした視線を御子柴に戻す。
「いつからそんな呼び方に?」
「妬かなくていいだろ。愛弟子のお前の奥さんは、俺にとっても特別な存在だ」
「まだ結婚していませんが」
愛弟子という言い方にも引っかかるが、実際、御子柴から教わることも多いためそこはスルーした。
「なにも買っていません。旅行ではなく通常勤務ですので」
ジョン・F・ケネディ国際空港のターミナルビルには女性が好みそうなハイブランドのテナントがいくつも入っている。
『土産はジュエリーにしろよ。真っ赤になって目を潤ませて喜ぶ可愛い顔が見られるぞ』
往路でそのようにアドバイスされていたので、それを無視したのかと舌打ちされた。
「男なら貯めこまずに、それくらい買ってやれ」
「きっと喜ばないので。和葉が欲しいものは航空機のジャンク部品ですから。アクセサリーをつけている姿を見たこともありません」
誕生日プレゼントに渡されて拒否したタービンブレードのキーホルダーは、和葉の通勤用の鞄につけられている。
『こんなに素敵なのに』と自慢げに見せつけてきた彼女を思い出し、口元を緩めていたのに、驚いたような声に邪魔された。
「和葉ちゃんは婚約指輪も喜ばなかったのか?」
答えたくなので数秒黙る。
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