100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
(こんな性格じゃ、好きになってもらえるわけがない。ほら、嫌そうな顔して――えっ!)
眉間に皺を寄せていた彼がテーブルに片手をつくと、一拍でゼロまで距離を詰められた。
頬に唇があたった感触がしたと思ったらすぐに離れ、キョトンとする。
一瞬のことなので驚く暇もない。
「これは……キスですか?」
片手で頬に触れて問いかけると、彼がクスリとする。
「キスにカウントするかどうかはお前に任せる。まったく強情なやつだ。俺はこの先も和葉と暮らしたいが、お前は違うのか? あと六日、よく考えろ」
男らしい人差し指が和葉の鎖骨の間を軽くついた。
そこにあるのはダイヤが煌めく星のモチーフだ。
このネックレスをプレゼントされたのは十日前で、しまっておくより身につけたいと思い、仕事中以外は首に下げている。
恋愛ドラマのヒロインのように可愛く喜ぶことはできなかったけれど、内心ではレアなジャンク部品を入手した時より嬉しくて恋の力に驚いていた。
普段使いしていても、これまではなにも言ってこなかった彼が、今は目を細めている。
「それを選んで正解だった。よく似合っている。それじゃ、行ってくる」
「あ、はい。いってらっしゃい……」
彼が足早にリビングを出ていったあと、すぐに玄関ドアの開閉の音もした。
(急に寂しい)
ひとりきりの静かな家は居心地が悪い。
リッチな家に住み続けたいのではなく、彼と一緒にいたいのだ。
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