100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
勤務終わりの五十嵐がわざわざ整備士の休憩室までやってきて、那覇空港で売っている土産用の菓子折りを浅見に手渡したという。
『妻の地元の名菓、ちんすこうです。日頃、妻がお世話になっているのでどうぞ。今後とも職場のよき先輩として妻をよろしくお願いします』
そんなことがあったとは少しも知らず驚いた。
「妻? 五十嵐さんがそう言ったんですか? 期限後も婚約を継続することにしたんですけど、結婚はまだしばらく先です」
「五十嵐さん的には実質、妻ということなんじゃないか?」
三回も妻と呼び、『職場のよき先輩として』という部分を強調して言ったらしい。
牽制ともとれる行動の理由を考え、首を傾げた。
「嫉妬、ですか?」
「それ以外にない。俺の妻に手を出すなと、笑顔で菓子折りを持ってこられたら怖いだろ」
奪われる可能性を考えるほど、五十嵐の目にはいい女に映っているのだろうか。
妬いてくれるのは嬉しいが、ただの後輩としてしか見ていない浅見に失礼だ。
「す、すみません。五十嵐さんがなにかを誤解しているようで。浅見さんが私を女だと思っていないこと、帰ったら強めに言っておきますので」
顔の前で両手を合わせて謝ると、浅見が真顔で黙った。
不愉快そうにも見えたので怒らせたのかと心配すると、深いため息が返ってきた。
「ほんと、男心のわからないやつだ」
「ん?」
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