100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
その駐車場でエンジンを止めた彼が、どことなくぼんやりとした顔で理由を口にする。
「初詣、まだだったから」
年末年始は空港の利用客が多く増便されるため、航空関係者はいつもより忙しい。
航空整備士になってから、初詣の時期に神社参拝したことはない。
車を降りて朱塗りの鳥居をくぐり、階段をゆっくりと上る。
境内に着くとそれほど大きくない社が構えていて、その隣には社務所もあった。
他に参拝客はなく、社務所の横の神札やお守りの販売所もしまっていた。
手水舎で手を清めてから、並んで参拝する。
(慧さんがパイロットを辞めませんように)
両手を合わせて真剣に祈る。
和葉が顔を上げても彼はしばらく目を閉じていて、その端整な横顔に迷いが感じられた。
(祈りにきたんじゃなく、考えにきたのかも。パイロットを続ける理由がなくなって、これからどうしようかと……)
彼が結論を出すのを待てずに腕を掴んだ。
「辞めないでください。もしなにか理由がないと続けられないのなら、私のために飛んでください。夫がパイロットの方がみんなに羨ましがられていいじゃないですか」
必死に説得する和葉に彼は驚いたように眉を上げ、そのあとにフッと笑った。
「嘘が下手だな。最初は俺に少しの興味もなかったくせに」
「うっ、でも辞めてほしくないのは本当です。操縦桿を握る慧さんを尊敬しています。年末に御子柴キャプテンと少しお話したんですけど――」
「初詣、まだだったから」
年末年始は空港の利用客が多く増便されるため、航空関係者はいつもより忙しい。
航空整備士になってから、初詣の時期に神社参拝したことはない。
車を降りて朱塗りの鳥居をくぐり、階段をゆっくりと上る。
境内に着くとそれほど大きくない社が構えていて、その隣には社務所もあった。
他に参拝客はなく、社務所の横の神札やお守りの販売所もしまっていた。
手水舎で手を清めてから、並んで参拝する。
(慧さんがパイロットを辞めませんように)
両手を合わせて真剣に祈る。
和葉が顔を上げても彼はしばらく目を閉じていて、その端整な横顔に迷いが感じられた。
(祈りにきたんじゃなく、考えにきたのかも。パイロットを続ける理由がなくなって、これからどうしようかと……)
彼が結論を出すのを待てずに腕を掴んだ。
「辞めないでください。もしなにか理由がないと続けられないのなら、私のために飛んでください。夫がパイロットの方がみんなに羨ましがられていいじゃないですか」
必死に説得する和葉に彼は驚いたように眉を上げ、そのあとにフッと笑った。
「嘘が下手だな。最初は俺に少しの興味もなかったくせに」
「うっ、でも辞めてほしくないのは本当です。操縦桿を握る慧さんを尊敬しています。年末に御子柴キャプテンと少しお話したんですけど――」