100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「このくらい当たり前です。すでに〝五十嵐FOの奥さん〟という呼び名が浸透しているようですから」
おそらく御子柴がそう呼ぶせいだと思うが、パイロットの乗員室だけでなくCAのオフィスでも広まっているそうだ。
これで別れていたらと思うと恐ろしい。
「大丈夫です。今の慧さんならきっと、感動できる空と出会えます。ワクワクしてもっと飛びたいと思えるようになります。絶対に。私が保障します」
「頼もしいな。和葉、ありがとう」
お礼の言葉に頬を染めると、頭上から聞き慣れた音がした。
見上げた青空には、小さな機影が南東の方角へ飛んでいく。
(よいフライトを)
習慣的に願いつつ、「どこ行きかな?」となにげなく呟いた。
ここからでは機種も航空会社も判別できない。行先の判断材料がひとつもないと思っていたのだが、彼がサラリと言う。
「ロサンゼルス」
「わかるんですか!?」
「形状から見てB789だろ。国際線機材だ。時間と航路から考えて、アメリカンエース航空の成田発ロサンゼルス行きだとわかる」
「すごすぎ!」
「お前の勉強不足だろ」
口を尖らせると笑われて、額がコツンとあたった。
至近距離にきれいなダークブラウンの瞳があり、たちまち鼓動が速度を上げる。
今日は彼の気持ちがいい方へ変化した日だ。
神様ならそれに免じて許してくださるだろう。
見つめ合い、唇を重ねて、想いをひとつにする。
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