100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
失恋しても応援してくれる彼女の強さと優しさに、改めて心が温まる。
「お前のサインもしておいてくれ。帰りに役所に寄って提出しよう」
「えっ、今日? あの、御子柴キャプテンに言われたから出すのはちょっと……」
結婚への意志は揺るぎないが、日付は自分たちで選びたい。
「御子柴キャプテンに渡されなくても、俺もそうしようと思っていた。今回のフライトを忘れたくないから入籍日と合わせたい。だが、和葉が嫌なら別の日にする」
「いえ、そういうことでしたら今日にしましょう」
今後、結婚記念日を迎えるたびに彼が、飛びたいという純粋な気持ちを思い出せるのは素敵だと感じた。
(そっか。私は今日から人妻になるんだ)
くすぐったい喜びを味わいながら婚姻届けをクリアファイルに戻していると、慧の制帽が足元に落ちた。
「あっ、大事な帽子が」
意外とおっちょこちょいなところもあると思ってしゃがみ、拾ってあげようとすると、先に伸びた慧の手にサッと奪われた。
(私に帽子を触られたくないってこと?)
ムッとして顔を上げた次の瞬間、制帽で隠すようにして不意打ちのキスをもらう。
すぐに唇は離され、腰を伸ばした彼が帽子をかぶり直してニッと口角を上げた。
ハッとした和葉は、真っ赤な顔で慌てて周囲を見回す。
(目が合う人はいない。誰にも見られていないよね……?)
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