100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
そして数日後、復路便で羽田に戻った五十嵐は、補助動力装置の件でスポットでエンジンをかけるという判断が妥当だったと考えるという報告書を提出したのだ。
(先ほど俺に向けてきた強気な目は、あの日と同じだった)
仕事への情熱は新人の頃と少しも変わらないようだが、違う点もある。
コックピットを点検するには機種ごとに社内試験に合格する必要があるはずで、四年間の彼女の努力と成長が感じられた。
和葉に思いを馳せていると、まるで心を読んだかのように御子柴にからかわれる。
「今度は整備士にしたのか?」
CAたちの争いの火種になってしまった過去の件を持ち出し、『また女心をもてあそんで』と言ったのは、和葉を指しての注意だったようだ。
眉を寄せて隣を見ると、ククッと笑う御子柴が日差し避けのサングラスをかけている。
「嫌な言い方をしないでください」
「いや、仲よさそうだったからさ」
出発前のコックピットで和葉と話していたのを聞かれていたようだ。
他の整備士とは業務上の会話しかしないから、彼女は特別だと思われても仕方ない。
「そういう関係ではありませんが、気をつけます」
「別にやめろと言っていない。俺も若い頃は結構モテたんだ。お前ほどではないが」
「恋愛事に巻き込まれるのはこりごりなので」
「それなら結婚すればいい。俺は結婚した途端にキャビンクルーからモテなくなった。それだけは残念だ」
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