100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
(からかってバカにしているんだ)
悔しいけれど、本心を明かせば少しだけ嬉しい。
ファッションやメイクに興味がなく、女子力が低いのは自覚している。
そんな自分がモテる副操縦士に可愛いと言われたら、どこがどんな風に?と気になった。
あの日は帰宅後に鏡の前で色んな表情を作り、確かめてしまったほどだ。
けれども意地悪な彼に対し喜んでは負けだと思うので、少しも嬉しくないと自分に言い聞かせている。
(しばらく会わないからよかった)
五十嵐は今ホノルルにいて、復路便が飛ぶのは明日だ。
国際線の乗務の後は二日ほど休みか自宅でのスタンバイになるはずで、その間は意識する必要がないのになぜか彼の顔がチラついて嫌になる。
人から聞いた彼のフライトスケジュールが頭から離れないのも悔しかった。
(どうして五十嵐さんことを考えてしまうの?)
いい印象を持っていないが、抜群のスタイルや凛々しさと美しさあわせ持った顔はかっこいいと思う。
(見た目だけね)
航空機を飛ばせる知識や技術を持っている点は尊敬する。
(パイロット全員に対しての尊敬だから)
『安全運航は大原則で、オンタイムで飛べるよう最善を尽くすのも俺たちの仕事だろ』
和葉のボヤキに対して正論で返された時はムッとしたが、今思えば彼はただ自分の意見を述べただけだ。
本心ではないのに適当に同調する人より誠実に思えた。
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