100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
いつもの仲間と一緒にテーブルを囲めず残念だが、店が繁盛するのはいいことだ。
カウンター席に腰を下ろした和葉は、忙しそうなマスターを見て注文をためらう。
すると隣の客が和葉の方へロングカクテルを押しやった。
「どうぞ」
「えっ」
「泡盛のパイナップルジュース割り。和葉さんはいつもこれだよね。そろそろ来ると思って先に注文しておいたんだよ」
驚く和葉の目に映るのは、湯崎(ゆざき)という名の三十歳の男性だ。
早番の出勤時に羽田空港線の電車内でよく会うと浅見に話したのは、彼のことである。
中肉中背で前髪がやや長く、細い目にかかっていた。
日光を吸収しそうな黒いノーカラーのシャツとズボン姿で、会うたびいつも同じ服装をしている。
湯崎と初めて話したのは、三か月ほど前の電車内だ。
女性航空整備士の仕事に密着するというテレビ番組の取材を受けたあとのことで、湯崎はその放送を見たらしい。
『スカイエアライズの金城和葉さんでしょ? テレビを見てかっこいいと思った。俺も飛行機が好きで空港で働きたかったな』
突然声をかけられて驚いたけれど、その時は飛行機好きな人に褒められて嬉しく思った。
しかしその喜びは、何度も電車内で顔を合わせるうちに違和感に変わった。
いつもと違う車両に乗った時も、遅刻しそうで電車を一本遅らせた時も、湯崎がいたからだ。
断っても連絡先をしつこく聞いてくるので困る。
カウンター席に腰を下ろした和葉は、忙しそうなマスターを見て注文をためらう。
すると隣の客が和葉の方へロングカクテルを押しやった。
「どうぞ」
「えっ」
「泡盛のパイナップルジュース割り。和葉さんはいつもこれだよね。そろそろ来ると思って先に注文しておいたんだよ」
驚く和葉の目に映るのは、湯崎(ゆざき)という名の三十歳の男性だ。
早番の出勤時に羽田空港線の電車内でよく会うと浅見に話したのは、彼のことである。
中肉中背で前髪がやや長く、細い目にかかっていた。
日光を吸収しそうな黒いノーカラーのシャツとズボン姿で、会うたびいつも同じ服装をしている。
湯崎と初めて話したのは、三か月ほど前の電車内だ。
女性航空整備士の仕事に密着するというテレビ番組の取材を受けたあとのことで、湯崎はその放送を見たらしい。
『スカイエアライズの金城和葉さんでしょ? テレビを見てかっこいいと思った。俺も飛行機が好きで空港で働きたかったな』
突然声をかけられて驚いたけれど、その時は飛行機好きな人に褒められて嬉しく思った。
しかしその喜びは、何度も電車内で顔を合わせるうちに違和感に変わった。
いつもと違う車両に乗った時も、遅刻しそうで電車を一本遅らせた時も、湯崎がいたからだ。
断っても連絡先をしつこく聞いてくるので困る。