100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
了承してくれたはずなのにという不満もあるが、からかい半分の褒め言葉を喜んでしまう自分が一番悔しい。
頬の火照りも止めようがなく、それに気づかれたくなくて睨んでみた。
彼の腕を押して近すぎる距離を離そうとすると、その手を掴まれる。
「空港内では言わない約束をしたが、プライベートは別だ。和葉は可愛い。照れているのを隠そうとして、わざと怒っている顔も可愛い」
(読まれてる。私の負け?)
なんとか反撃できないかと考えていると、ククッと笑った彼が和葉の手を口元に持っていく。
「手ならいいんだろ?」
先ほどの手の甲へのキスが平気そうに見えたのか、勝手な判断で攻められる。
「ま、待って――」
「半月、ひとつ屋根の下にいてなにもしなかった。十分に待っているつもりだが。早く俺に惚れろよ」
再び色気をまとわせた彼は、和葉の小指に唇をすべらせて先端を口に含んだ。
温かく湿った感触に動揺し、たちまち最高頂まで鼓動を高まらせたが――。
和葉の指から口を離した彼が顔をしかめた。
「辛い」
「えっ? あ、たぶん島唐辛子です」
ゴーヤーチャンプルーには島唐辛子を刻んで入れた。
まな板周囲に散らばったその種や切れ端を手で集めて片づけ、その後に手を洗っていなかった。
島唐辛子の辛さは鷹の爪の三倍だと言われていて、口に入れた瞬間にピリッとする。
甘い雰囲気を消した五十嵐が、呆れたように言う。
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