100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
百日経ったら、勝利宣言をしてこの家を出るつもりだ。
一生、彼の女避けになるつもりはなく、心のブレーキの利き具合を確認していた。

十月に入りやっと屋外での作業がしやすい気温になった。
時刻は十時半。早番の和葉は駐機場にいて、これから福岡へ飛ぶ航空機のタイヤの空気圧を測定している。
すると後ろから声をかけられた。
「ランディングギアのチェックをさせてね」
「はい」
振り向くと御子柴がいた。
夏が終わったのでワイシャツの上に濃紺のジャケットを着用している。
(御子柴キャプテンの操縦ということは……)
周囲を見回し五十嵐の姿を探す。
他の機長よりペアを組む機会が多いと聞いたので、彼も乗務するのかと期待した。
しかし離れた場所でエンジンを確認しているのは別の副操縦士で残念に思った。
(私、どうしてがっかりしているの?)
五十嵐が乗務する機体の整備担当に必ずあたるわけではなく、違う時の方が多い。
以前は担当したくないと思っていたはずなのにと、心境の大きな変化に気づいて慌てた。
(一緒に暮らしているのに空港でも会いたいと思っているわけじゃない。ジャケット姿の五十嵐さんをまだ見たことがないから、少し興味が湧いただけ)
パイロットの制服姿の彼は目の保養になる。理由はそれだけだと自分に言い聞かせてから、御子柴に話しかける。
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