100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
初めて格納庫内に入り、機首を大きく開けた整備中の航空機を見た時は、興奮と感動でゾクゾクと鳥肌が立った。
その時のものすごく楽しかった記憶は今でも忘れていない。
(もし私がパイロットなら、初めての旅客機の操縦にはしゃいで注意されそう。五十嵐さんは楽しくなかったの? それとも喜びを隠すのがうまいのか……)
どんな気持ちで飛んでいたのだろうと考えていたら、御子柴の柔和な目が意味ありげに細められた。
「努力を惜しまず飛び抜けて優秀。五十嵐なら機長試験も最短でクリアするだろう。来年には最年少機長だ。それなのに空を飛んでいる時のあいつはいつもつまらなそうな顔をしている。なぜパイロットになったのか、気になって聞いてみたことがあるんだが」
「教えてください」
食い気味に続きを促したが、なぜか御子柴が笑顔で黙った。
「御子柴キャプテン?」
「ブリーフィングを始める時間だ。五十嵐の奥さん、またね」
「えっ」
ひらひらと片手を振って離れていく御子柴に、心の中で叫ぶ。
(奥さんじゃない! いや、それより続きは? ものすごく気になるんですけど)
本人に聞いてみればいいという意味であえて教えてくれなかったのかもしれないが、はたしてできるだろうか。
家での五十嵐は興味を持って和葉の仕事や実家の話を聞いてくれるのに、自分についてはほとんど話さない。
< 93 / 243 >

この作品をシェア

pagetop