イケメンカリスマ美容師の沼は思った以上に深そうです
「俺も杷子ちゃんが店に来るたびにピュアでかわいい人だなと思ってたんだ。君と過ごす時間が楽しくて特別で、どんどん惹かれていった」
「……え?」
「だけど俺は経営者でもあるから、客を口説くのはどうなんだ? って葛藤があったのも事実。自分の中で答えはとっくに出てたのにな」

 彼は私の瞳をじっと射貫いたあと、足元に落ちたままになっていた髪飾りをおもむろに拾い上げた。

「快永さんの答え……聞かせてほしいです」

 再び彼の視線に捕まる。
 どんな結果が出ても快永さんを好きな気持ちは決して消せないけれど、少しでも可能性があるならと、全力で神様に祈った。

「俺は、杷子ちゃんが好きだ。だからほかの男には絶対に渡さない」

 蠱惑的な笑みをたたえつつ、快永さんは手にしていた髪飾りを私の髪に取り付けた。
 そのあと彼の右手はするりと滑り落ちるように私の左頬に添えられる。

「杷子ちゃんの来店がいつも待ち遠しくて。自分だけのものにしたくて仕方なかった。……って、誰にでも言ってるわけじゃないから。派手に遊んでそうだと思われてるかもしれないけど、俺は違うよ?」
「だ、誰にでもとか……思ってないです」
「なんで泣くの」

 瞳からポロリとこぼれ落ちた大粒の涙を、彼が右手の親指でそっと拭った。
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