妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 結婚式まであと半年という頃。円香に会いに朔也が月花家へとやってきた。

 こうして頻繁に円香との時間を持ってくれるのが円香はとても嬉しい。満面の笑みを浮かべて朔也を招き入れる。円香以外の月花家の面々も当たり前のように彼を迎え入れた。

 朔也は子供の頃から何度も月花家を訪れているから、朔也がこの家で過ごしても誰も何の違和感もないのだ。皆でリビングに集まり、お茶をするのはいつものこと。リビングには和やかな空気が流れている。


 しかし、それをいつものように一人の人物が壊す。

「ね、朔也くん。相談したいことがあるからちょっと来て?」

 円香がいてもお構いなしで、麗香が朔也を連れていこうとする。

 麗香は病気を理由に随分と甘やかされて育ったから、かなりの自由奔放な人間へと成長しており、こういう行動は日常茶飯事であった。

「はあー、麗香。そうやって朔也くんに構ってもらおうとするのはやめなさい」

 母が麗香をたしなめるが、麗香はどこ吹く風である。

「えー、いいじゃん。朔也くんとは小さい頃からの仲なんだから。朔也くん、ほら早く!」

 麗香の言っていることは間違いではない。幼い頃から家族ぐるみの付き合いをしてきたから、麗香も朔也のことを兄のように慕っているのだ。

 円香としては自分の婚約者にベタベタとされるのはあまり気持ちのいいものではないのだが、自分の我儘で麗香から兄のような存在を奪ってしまうのは忍びないと思い、いつも麗香に譲ってしまう。

「朔也くん、いつもごめんね。麗香ちゃん、あんまり朔也くんを振り回したらダメだからね」
「わかってるって。行こ?」

 朔也は眉を下げながらも、しかたがないといった表情をして立ち上がった。

「円香ちゃん、すぐに戻ってくるね」

 あとに残された円香と両親はいつものようにため息をつく。そして、両親はもはや口癖のように「育て方を間違えた」とこぼした。
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