妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「お姉ちゃん。あのね、お願いがあるんだけど、私が朔也くんと結婚していい?」

 とんでもない発言をする麗香を、円香は感情のままに罵りたくなったが、いい子に育ってきた円香にそれはできない。必死に冷静さを装い、麗香を諭すように語りかけた。

「……何言ってるの。麗香ちゃんのお相手は吉瀬(きちせ)さんでしょ?」

 最近決まったことではあるが、麗香にも婚約者がいるのだ。孝之助が持ってきた縁談話を麗香が快諾し、二ヶ月前に婚約が成立していた。

 相手は、若干二十六歳にして、話題のITベンチャー企業『KGFIT』の社長を務め、個人投資家としても有名な吉瀬彰史(きちせあきふみ)。かなりの優良物件である。

「そうだけど、あの人全然私に構ってくれないんだもん。朔也くんのほうがいい」
「……吉瀬さんはお忙しい人なんでしょ? 麗香ちゃんに構ってばかりはいられないんだよ。少しは我慢も必要だと思うよ?」
「でも、会話すらまともにしてくれないんだもん」

 麗香のその言葉に深いため息が漏れた。

 実は彰史には冷酷無慈悲だという噂がある。利益を上げるためならば、血も涙もないような策さえ躊躇なく講じる冷血人間であると。

 それを知っていた円香は麗香たちの婚約をずっと不安に思っていたのだ。性格に難のある二人が果たして上手くやっていけるのだろうかと。どうやらその不安が的中してしまったらしい。まさかここまで早く音を上げるとは思っていなかったが、あの冷血人間とこの我儘娘は相容れなかったようだ。

< 13 / 201 >

この作品をシェア

pagetop