妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 おそらく時間にして、二、三分だろうか。彰史と抱きしめ合っていれば、円香の感情も落ち着いてくる。

 そっと彰史の胸元から顔を上げて、軽く涙を拭っていれば、タイミングを見計らったように彰史の後ろから声がかかる。

「円香さん」

 相川の呼びかけに、円香は慌てて彰史から離れ、彼女に向き直る。

「ごめんなさい。あなたと彰史の関係が取るに足らないものだって決めつけて、あなたを傷つけたわ。本当にごめんなさい」
「えっ!?」

 相川は円香に向かって深く頭を下げている。実に相川らしいストレートな謝罪だ。

 しかし、相川が謝罪する必要はないと円香は思っているから、こんなことをされると戸惑ってしまう。

 彼女に対する嫉妬心はあれど、彼女のことを悪くは思っていないのだ。

「あの、私は大丈夫ですから、頭を上げてください。相川さんがされていたことは、彰史さんのためを思ってのことだとわかっています。私こそ、結局、中途半端なことをしてしまってすみません」

 彰史を送り出す決断をしておきながら、結局は引き留めてしまった。これなら、最初から別れない選択をしたほうがずっと誠実だったはずだ。

 そんな思いから円香は相川へ謝罪を返す。

 しかし、相川は円香のその謝罪には反応せず、信じられないものを見るような目で円香を見ている。

 そして、十分な沈黙を挟んでから、相川はなぜか彰史に謎の忠告を始めた。

「ちょっと、彰史。こんな子放って置いたらダメじゃない。ちゃんと守ってあげないと、いいカモにされてしまうわよ?」
「おい、お前が言うな! 言われなくても、わかっている。円香のことはこの先も俺が守る」

 なんだかバカにされている気がしなくもないが、好きな人から守ると言われて嬉しくないはずがない。

 胸をときめかせ、彰史をじっと見つめていれば、彰史も見つめ返してくる。
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