妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 それからすぐに円香と朔也の婚約は正式に破棄された。あんなにも長い時間をかけて築いてきた二人の関係はあっさりと終わりを迎えたのだ。


 ずっと朔也と結婚することだけを夢見てきた円香は、その未来を失い、先がまったく見えなくなってしまった。どうやって生きていけばいいのかわからない。

 けれど、時は止まってはくれなくて、皆と同じように過ぎていく。

 一日、一日と日は過ぎ去っていき、婚約破棄からはもう二ヶ月が経ってしまった。


 その間、朔也から謝罪をしたいという連絡が何度も来たが、円香は一度たりとも受け入れなかった。受け入れられなかった。

 代わりに朔也の両親からの謝罪だけを受け入れた。ずっとお世話になってきた人たちだから、その人たちと縁を切るけじめだけはつけたかったのだ。

 朔也の両親と顔を合わせてみれば、彼らは深く頭を下げて円香へ謝罪をしてくれたが、円香はそれがとてもつらかった。義理の親になるはずだった人らのその姿に深く胸が痛んだ。悲しくてたまらなかった。

 その悲しさは今もまだ続いている。あらゆる負の感情がふとした瞬間に表出して、円香を苦しめる。先のことを考える気力もまったく湧かない。

 結婚がなくなった以上、就職をしなければと思ってはいるが、具体的な行動は何一つ起こせていない。本当にただ生きるだけの日々を送っている。


 もういっそのこと、今のこの暮らしを生涯続けていけないだろうか、なんて後ろ向きな考えまで浮かんできた頃、意外な人物が円香を訪ねてきた。

 それは麗香の元婚約者の吉瀬彰史。円香の人生を大きく変えることになる人物である。
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