入れ替え婚 ~妹に婚約者を奪われたら冷酷と噂の妹婚約者に溺愛されました~
第三章 新しい人生
「円香、調子はどうだ? 元気にしていたか?」

 円香にそう尋ねるのは向かいに座る父。そして、その隣には母。

 彰史との生活が始まってからはもう二ヶ月が経とうとしているが、彰史と暮らすこの家に両親が訪ねてきたのは今日が初めてだ。

 父も母もとても心配そうな表情で円香を見ている。随分と急スピードで彰史との生活に踏み切ってしまったから、父も母も円香のことをずっと心配してくれていたのだろう。二人の表情からその気持ちが窺える。

 円香は両親を安心させるように笑顔で頷いた。

「うん。元気だよ」
「何か困っていることはない?」

 母のその問いかけにも円香は笑顔で答える。

「大丈夫だよ。いつも彰史さんが助けてくれるから」

 円香は隣に座る彰史にちらりと視線を送りながら言う。彰史はその視線に気づいたようで、円香と目を合わせると微笑んでくれた。

 二人の間に確かな信頼関係が築かれているからこそのやりとりである。
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