「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
(絶対に助けます!)

 エレオノールの言葉が届き、シュルーシュカが次第に落ち着きを見せる。

 気づけば誰よりもジークハルトに近い位置に立っていたエレオノールは、周囲が驚いた反応を見せているのもかまわず、ぴくりとも動かない身体に駆け寄った。

「ジークハルトさん!」

 慎重に仰向けにすると、まだ息がある。ただしそれも時間の問題になりそうだ。

 左胸から、傷口がどこにあるかわからないほど血が溢れている。

 ぎりぎり心臓の位置は避けられたようだが、もはや一刻の猶予もない。

(お願い、死なないで)

 エレオノールは胸の前で祈るように手を組み、ぶつぶつと慣れ親しんだ回復魔法を唱えた。

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