「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「緊張しているのか?」

「……あなたはしていないんですね」

 エレオノールが目を伏せると、ジークハルトはその髪をひと房つまんだ。

 そのまま顔に寄せ、毛先にキスを落とす。

「……いつもと違う香りがする。普段から甘い香りがするが、今夜は特別なんだな」

「初夜……ですから」

 先ほど吹き込んだ外の冷たい空気は、いつの間にかふたりの雰囲気にあてられて温かくなっていた。

 ふたりはどちらからともなく唇を重ね、なにか言うでもなく笑う。

「いつか、聞いてほしいお願いがあるんです」

「なんだ?」

「テレーと過ごした場所へ、一緒に行ってくれませんか?」

「お前さえよければ、明日にでも」
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