【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「……なんでそんな、距離取るんだ?」
「大した意味は、ない」

 嘘だ。とても大した意味がある。

 お風呂上がりの身内でもない男性の人の側に寄る勇気は、今の私にはない。

「あるだろ。……お前、昔は俺にべったりだったのに」

 さも当然のように彼がそう言って、髪の毛を拭いていたタオルをベッドの上に放り投げる。その仕草は、なんだか子供っぽい。

「いつの話よ。……私、もう二十二だから」

 プイっと顔を背けてそう言えば、瑛二くんは「知ってる」と言葉を返してくれた。

「けど、その割には顔立ちは子供だよな」
「……うるさい!」

 それは、私が一番気にしていることだ。

 童顔で、未だに年齢確認なんて日常茶飯事。胸もあんまり成長しなかったし……。

「大体、瑛二くんも昔のままだから!」

 こういう風に私をからかって遊ぶのも、昔のままだ。

 そう抗議すると、瑛二くんが私のすぐそばに寄ってくる。……私は、距離を取る。

「逃げるな」
「逃げてない! 距離を取ってるだけ!」

 そもそも、瑛二くんがにじり寄ってこなければ、こんなことしなくていい。

 そんな風にしばらく攻防して、私はベッドの端に追いやられて。……もうこれ以上逃げられないって、思う。

 ……だって横、壁だし。

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