【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 そう思って、視線を下げていれば、私のスマホが音を鳴らす。

 慌ててディスプレイを見つめれば、着信を知らせる画面と、『零一くん』という文字。

 ……慌てて、私は電話に出る。

「零一くん? なにかあったの?」

 出来る限り冷静を装って、言葉を発する。

 そうすれば、スマホ越しに聞こえる「面倒なことになったと思う」という零一くんの声。

「悪いな、みつば。スピーカーにしてくれ。側に瑛二、いるんだろう?」
「う、うん、わかった」

 零一くんの言葉に素直に従って、私はスピーカーのボタンを押す。

 スピーカー越しに聞こえる零一くんの声は、確かに焦っていた。

「瑛二。一旦家に戻って来い。マンションには帰るな」
「……わかってるよ、兄貴」

 零一くんと瑛二くんが、淡々と話をしている。……私は意味がわからなくて、スマホを持つことしか出来ない。

 その手も、微かに震えていて。

「お前なぁ。事の重大さ、わかってんのか?」
「……わかってるよ」

 瑛二くんが、返事をしてぎゅっと唇をかみしめた。血が出そうなほどにかみしめた唇が、痛々しい。

「とりあえず、一旦実家帰るから。……そのとき、話をするわ」
「瑛二!」

 ちょうど信号で車が止まる。瑛二くんは、通話終了のボタンをさっと押して、「はぁ」とため息をつく。

「……瑛二、くん?」

 そっと彼の顔を覗き込んで、恐る恐る名前を呼ぶ。……彼は、私に向かって笑いかけてくれた。

「悪いな、みつば。……色々と、隠してたこと、実家に戻ったら話す」
「……」

 多分、それは。瑛二くんが、京都に戻って来たワケなのだろう。

 私の直感は、確かにそれを告げていた。
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