出会った彼は

「いや。確かに涼太くんのことを想う気持ちは誰にも負けないつもりですけど、私なんかそんな大した人ではないです…。」


「私なんかって言わないでって言ってる。芽依ちゃんだからいいんだよ。」


涼太くんが私を見て言った。

「2人を見てると、本当に仲が良さそうで安心する。出来の悪い弟だけど、これからもよろしくね。何かあったらすぐに相談してね。」


さくらさんは優しい顔をしながら私を見た。

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

ペコっと頭を下げるとニコニコ笑うさくらさんがいて、そのまま連絡先を交換してさくらさんは家に帰ると言って結衣ちゃんと2人で駐車場の方へ向かっていった。


「お姉さん、いきなりで緊張したけど優しい人だね。」

「優しい?怖いの間違いじゃね?」


そう言って涼太くんは反対方向に歩きだす。

「どこいくの?」

「買い物デート。」


そう言って少し前を歩く涼太くんが振り返った。
< 288 / 514 >

この作品をシェア

pagetop