御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
「私でも、変われますか?」

 ぽろりとこぼれたつぶやきは、あまりにも頼りなかった。

「俺がついていれば、大丈夫だ」

 普段の自分なら、他人をもっと警戒していたはず。
 でも今は、あり得ない提案をされているというのに抵抗感がまったくない。 

 それはなぜかと考えて、ひとつの答えにたどり着く。
 この人は、渚に似ているのだ。

 愛想がなくてそっけない応答ばかりでも、気分を害さずに対話を続けてくれる。こんな私でも、突き放しはしない。
 だから私も、小早川さんに対してここまでプライベートを曝け出せているのかもしれない。

「助けて、ほしいです」

「おかしいな。助けてくれと言ったのは、俺の方だぞ」

 張り詰めた空気を和らげるように、小早川さんがくすりと笑う。

「だが、せっかく成瀬がそう言ってくれたんだ。この機会を逃すつもりはない」

 まっすぐに私を射抜く熱のこもった視線から、目が逸らせなくなった。

「俺と、結婚してくれるか?」

「……よろしく、お願いします」

 差し出された手に、そっと自身の手を添える。そこから伝わる温もりに、なぜか大きく安堵していた。
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