御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
目的地へ到着したことを告げるベルが鳴り、ハッとする。
「え?」
一歩足を踏みだしたが、慣れない感触の厚みのある絨毯にわずかに体がよろめく。すかさず葵さんが支えてくれた。
ゆっくりと視線を上げて、視界に飛び込んだ光景に瞠目した。
フロア一面に、濃紺の絨毯が敷かれている。そんな仕様になっているのは、間違いなく重役の執務室がある階だ。
「あ、あの。どうしてここへ?」
「父親に会ってもらうと言っただろ」
まさか、このどこかの部屋に彼の父親がいるというのか。
真意を確かめるために、勢いよく彼を見上げる。私と目が合った葵さんは、してやったりというようにニヤリと笑ってみせた。
「ほら、父さんはその先の部屋で待っている」
「そんな」
彼が指さした先は、一番奥にある社長室だ。
つまり〝後を継ぐ〟とは実家の話ではなくて、この会社のことだったのか。
「忙しい人だから、待たせるわけにはいかない」
歩きはじめた彼に、慌てて続く。
そうして、重厚な扉の前でふたり並んで足を止めた。
「なにも心配いらない。瑠衣は昨日打ち合わせた通りに、話を合わせてくれればいい。なにかあれば、俺がフォローするから」
その言葉は心強いが、不安は尽きない。
気持ちの整理がつかない。
でも、ずっとここに突っ立っているわけはいかず、葵さんに向けて小さくうなずいた。
「え?」
一歩足を踏みだしたが、慣れない感触の厚みのある絨毯にわずかに体がよろめく。すかさず葵さんが支えてくれた。
ゆっくりと視線を上げて、視界に飛び込んだ光景に瞠目した。
フロア一面に、濃紺の絨毯が敷かれている。そんな仕様になっているのは、間違いなく重役の執務室がある階だ。
「あ、あの。どうしてここへ?」
「父親に会ってもらうと言っただろ」
まさか、このどこかの部屋に彼の父親がいるというのか。
真意を確かめるために、勢いよく彼を見上げる。私と目が合った葵さんは、してやったりというようにニヤリと笑ってみせた。
「ほら、父さんはその先の部屋で待っている」
「そんな」
彼が指さした先は、一番奥にある社長室だ。
つまり〝後を継ぐ〟とは実家の話ではなくて、この会社のことだったのか。
「忙しい人だから、待たせるわけにはいかない」
歩きはじめた彼に、慌てて続く。
そうして、重厚な扉の前でふたり並んで足を止めた。
「なにも心配いらない。瑠衣は昨日打ち合わせた通りに、話を合わせてくれればいい。なにかあれば、俺がフォローするから」
その言葉は心強いが、不安は尽きない。
気持ちの整理がつかない。
でも、ずっとここに突っ立っているわけはいかず、葵さんに向けて小さくうなずいた。