星のような僕らは

嫌じゃないから

ちょっと、待って、どういう事!?
「あら、明斗君の部屋は研究員専用の部屋だから、暗証番号がいるのよ?蒼也君が行っても、明斗君が嫌なら、入れないわ」
その言葉で蒼也は何も言い返せ無くなった。
これは、一緒の部屋しか無いな。
「それじゃあ、準備が出来たら、降りて来てね」
前田さんは部屋を出て行き、蒼也はため息を一つ。
「梨歌、悪かったな」
「気にしてないよ」
気にしてない。でも...。
「俺も一人部屋か兄さんと一緒の部屋になると思ってたんだ」
「蒼也、私と一緒の部屋は嫌?」
気がつけば、声になっていた。
それにも、驚いたけど、蒼也から出た言葉に、私は、更に驚いた。
「嫌じゃない。...嫌じゃないから、離れたいんだ」
どういう事?
「でも、諦めた。梨歌が良いなら」
「私は一緒でも大丈夫だよ」
「それなら、とりあえず、荷物を片付けよう」と蒼也は窓を開けた。
「梨歌、来てみ」
蒼也の隣に並ぶと窓から夕焼けが見えた。
もう、空は紺色に彩られて、水平線に茜色が太陽を縁取っていた。
「こんなに綺麗に見えるんだね」
「流れ星も、この前より、もっと、綺麗に見える」
「早く、見たいな」
「ああ」
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