星のような僕らは

私の思いを君の音に

「それじゃあ、出発するよ」
「ああ」
「お願いします」
エンジンの音が響いて、ゆっくり、車が動きだす。
そして、車が走り出すと蒼也はイヤホンを私に差し出した。そのイヤホンは、蒼也のスマホに繋がってる。
「一緒に聞こうと思って」
「ありがとう」と私はイヤホンを受け取って、耳につけた。後は、歌詞ノートを出して...と。
「俺にも見えるように」と言って蒼也は歌詞ノートを私と蒼也の間になるよう持ってくれた。
「こうだろ」
「ありがとう」
「...どういたしまして」
蒼也の返事が返ってくるとイヤホンから音が流れてくる。歌詞ノートを見ながら、蒼也は曲に歌詞を乗せていく。中音がベースに高音と低音が絡み合うようにハーモニーになって、また、私の胸に響く。
いつ聞いても蒼也の曲はあたたかいな。
音が消えてもまだ、胸の中で響いてる。
「どうだった?」
「良かった。私も早く、歌いたいって思った」
「ありがと。でも、また、調整だな」
「ねえ、蒼也、私にくれたあの曲、流してよ」
「ああ」
「ありがとう」
私は歌詞ノートのページをめくった。
曲が流れてくると、私の思いを蒼也の音に乗せた。
気づけば、曲は終わっていた。
「蒼也」
「梨歌の歌は最高だ」と頭を撫でてくれた。
その言葉が嬉しかった。
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