星のような僕らは

宇宙の研究所

「梨歌ちゃん、蒼也、研究所着いたよ。起きて」
明斗さんの声で私は目が覚めた。
本当は、動きたいが動けない。
「蒼也、起きろよ。
いつまで、梨歌ちゃん抱きしめてるつもりだよ」
そう、私は、今、蒼也の腕の中だ。
曲合わせをずっとしていた私と蒼也は前日、あまり、寝ることが出来ず、車の中で寝落ちしていた。
「ん?着いたのか...って梨歌!」
と寝起きの蒼也は私に驚いて、明斗さんが開けていたドアから落ちそうになったが、シートベルトに引っ張られて、助かった。
「やっと、起きた」
「今日は私も居るからね」
「そうじゃない!兄さん、俺を先に起こせよ」
「先とか後じゃない。同時に起こした」
「もういい。先、行くから」
明斗さんに怒った蒼也は車から降りると先に行ってしまった。
「あっ」
蒼也が座っていた席には、イヤホンが繋がったままのスマホが残されていた。
「蒼也のやつ、荷物くらい、持っていけよな」
明斗さんは、私と蒼也の荷物を肩にかけた。
「私、持ちます」
「良いの、良いの。お兄さんに任せなさい」
「ありがとうございます」
「入ろうか。皆、二人の事、待ってたよ」
研究所に入ると、蒼也が研究所の人達に囲まれていた。
「蒼也君、大きくなったね。一年振りか?」
「はい」
「今日は彼女さんと一緒なんでしょ?」
「彼女じゃないです...ま」と何か言いかけると、私と目が合った。そして、周りの人を睨みつけた。
「ごめん、ごめん」と謝られ、蒼也はため息を一つ。
「梨歌、こっち」と何事も無かったかのように、蒼也は私に手を振った。
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