イケメン妻はお飾りの年下夫の愛に囚われる
ラファエル
生みの母は、平民の踊り子だった。
青味がかった波打つ銀髪に、晴れた空のような青い瞳の美しい女性。
そんな母を見初めた父が、母が踊る劇場の支配人に手を回し、半ば強引に愛人にした。
父は母の美しさに魅せられ、本妻とその間に出来た息子には無関心だった。
そして母は妊娠し、生まれたのが僕、ラファエル・ディルクだ。
本妻は愛人の子が男だと知り怒り狂い、母の周りにいた者たちを追い詰め、やがて母はそれを苦にして自ら命を絶った。
五歳になったばかりの、息子の僕を残して。
残された僕は、この世の全てに怒りを抱いた。
嫌がる母を無理矢理愛人にし、強引に犯して僕をこの世に生み出させた父に。
嫉妬に狂い、母を追い詰め、そして死に追いやった父の妻に。
そして、お前など生まれてこなければ良かったと、息子を詰り続け、身勝手に自分だけ苦しみから逃げた母に。
何より一番怒りを抱いたのは、この世に生まれてくる価値などない僕を、この世に誕生させた神に。
母の死後、僕は父に引き取られたが、それはまた新しい地獄の始まりに過ぎなかった。
父は母譲りの美貌の僕に、少なからず関心は向けたが、僕が男であることに、苛立ちを見せた。
もし自分が女の子だったらと思うと、ぞっとする。
女だったら、もしかしたら実の娘であろうと、あの男は手を出していたかも知れない。
女にしか興味のない男で良かったと、ほっとする。
そして本妻とその息子は、僕を物置部屋に押し込み、硬いパンと薄いスープの粗末な食事を、一日一回与えて、ボロ布を着せて、毎日毎日、自分たちにの気の済むまで折檻し続けた。
何のために生きているのか。いっそ母のように死ぬべきかと、思わないではなかったが、僕の心に灯った復讐の炎が、それを思い止まらせた。
死ぬなら、あいつらを道連れにして死んでやる。
そう心に決めていた。
数年が経ち、相変わらず父親は無関心。時折僕を呼び出し、女の服を着せて横に侍らせては喜んでいた。
しかし、一応の勉強や剣や馬術と言った貴族の子息に必要な勉強はさせてくれた。
僕の体が大きくなると、さすがに反撃を恐れてか本妻は暴力を控えるようになったが、暴言は続いていた。
そして、本妻の息子は、勉強も剣も容姿も平凡並で、僕より劣っていることを自覚して、以前にも増して僕に辛く当たっていた。
変わったのは、使用人たちだ。
特に女の使用人たちは、僕の世話をこぞってやりたがった。
本妻たちの目を盗んでは食べ物などを僕に渡し、代わりに僕に触れていく。
時には唇を押し付けてきたり、夜中にこっそり寝ているところに忍び込んできた。
自分の見かけが、女達(時には男たち)にもたらす影響力は凄まじかった。
僕に気に入られようと、女達は熾烈な争いを起こし、やがてそれは本妻の知るところとなった。
僕に少しでも媚びると、すぐに解雇し、次から次へと使用人が入れ替わった。
その度に本妻もその息子も、僕を責めた。僕が望んでしたことではないはない。勝手に彼女たちが寄ってくるのだと言うことも、本妻たちはわかっていながら、理不尽に僕を責め続けた。
青味がかった波打つ銀髪に、晴れた空のような青い瞳の美しい女性。
そんな母を見初めた父が、母が踊る劇場の支配人に手を回し、半ば強引に愛人にした。
父は母の美しさに魅せられ、本妻とその間に出来た息子には無関心だった。
そして母は妊娠し、生まれたのが僕、ラファエル・ディルクだ。
本妻は愛人の子が男だと知り怒り狂い、母の周りにいた者たちを追い詰め、やがて母はそれを苦にして自ら命を絶った。
五歳になったばかりの、息子の僕を残して。
残された僕は、この世の全てに怒りを抱いた。
嫌がる母を無理矢理愛人にし、強引に犯して僕をこの世に生み出させた父に。
嫉妬に狂い、母を追い詰め、そして死に追いやった父の妻に。
そして、お前など生まれてこなければ良かったと、息子を詰り続け、身勝手に自分だけ苦しみから逃げた母に。
何より一番怒りを抱いたのは、この世に生まれてくる価値などない僕を、この世に誕生させた神に。
母の死後、僕は父に引き取られたが、それはまた新しい地獄の始まりに過ぎなかった。
父は母譲りの美貌の僕に、少なからず関心は向けたが、僕が男であることに、苛立ちを見せた。
もし自分が女の子だったらと思うと、ぞっとする。
女だったら、もしかしたら実の娘であろうと、あの男は手を出していたかも知れない。
女にしか興味のない男で良かったと、ほっとする。
そして本妻とその息子は、僕を物置部屋に押し込み、硬いパンと薄いスープの粗末な食事を、一日一回与えて、ボロ布を着せて、毎日毎日、自分たちにの気の済むまで折檻し続けた。
何のために生きているのか。いっそ母のように死ぬべきかと、思わないではなかったが、僕の心に灯った復讐の炎が、それを思い止まらせた。
死ぬなら、あいつらを道連れにして死んでやる。
そう心に決めていた。
数年が経ち、相変わらず父親は無関心。時折僕を呼び出し、女の服を着せて横に侍らせては喜んでいた。
しかし、一応の勉強や剣や馬術と言った貴族の子息に必要な勉強はさせてくれた。
僕の体が大きくなると、さすがに反撃を恐れてか本妻は暴力を控えるようになったが、暴言は続いていた。
そして、本妻の息子は、勉強も剣も容姿も平凡並で、僕より劣っていることを自覚して、以前にも増して僕に辛く当たっていた。
変わったのは、使用人たちだ。
特に女の使用人たちは、僕の世話をこぞってやりたがった。
本妻たちの目を盗んでは食べ物などを僕に渡し、代わりに僕に触れていく。
時には唇を押し付けてきたり、夜中にこっそり寝ているところに忍び込んできた。
自分の見かけが、女達(時には男たち)にもたらす影響力は凄まじかった。
僕に気に入られようと、女達は熾烈な争いを起こし、やがてそれは本妻の知るところとなった。
僕に少しでも媚びると、すぐに解雇し、次から次へと使用人が入れ替わった。
その度に本妻もその息子も、僕を責めた。僕が望んでしたことではないはない。勝手に彼女たちが寄ってくるのだと言うことも、本妻たちはわかっていながら、理不尽に僕を責め続けた。