イケメン妻はお飾りの年下夫の愛に囚われる
 国の法律では、家長が亡くなった事実が判明してから三ヶ月以内に、次の後継者を届け出なければならないとされている。

 国境警備の任期が、その期限ギリギリで終わる。

 いちかばちか、戻る直前に彼女の上官のコルビット大佐に連絡を入れた。

 素直に彼女の状況を尋ねた。

 大佐からの返事は、結婚相手を探すことに苦労しているとあった。
 彼女の条件は、彼女が騎士を続けることを認め、彼女に家の管理をすることに文句を言わず、助けてくれる者。

 それはなかなか難しい条件だった。

 男性には男性のプライドというものがある。女性の下に就くことを嫌う事が多い。

 そして危惧したとおり、彼女の従兄がその座を狙っていた。

 幸いなことに、彼女は彼を拒んでいる。

 
 僕は大佐に、彼女に自分を紹介してくれるように頼んだ。

 そんな風に人に頼るのは、初めてだった。

 大佐からは、最終的に決めるのは彼女だと言われた。

 嫌われていないとは思っているが、条件がそれだけとは言っても、実際結婚相手に名乗りをあげて、自分も拒まれることだってある。

 そうだとしても、諦めるつもりはなかった。

 生まれた時から、誰にも執着したことのない僕が、初めてどうしても手に入れたいと思った人。

 それがアニエスだった。

 
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