強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
一週間はあっという間に過ぎた。仕事をして、総務の雑用をこなして、社長とは事務的な会話しかしなかった。社長も外に出たりお客さんの応接があって私に構う暇がなかったから、月曜以来日曜日の件については触れていない。
前日の夜に、社長からメッセージが来なければあの強引な約束は無かったんじゃないかと思うくらい。

『明日、11時頃迎えに行く』

簡潔な文章は仕事の話みたいだ。社長とのトーク履歴といえば仕事の話しかしていないので、私が社長と妙なことになっている感じはないのが私の気持ちを落ち着かせる材料になった。

平常心。着ていく服だって迷わず決めた。着飾らず、でもあの見た目の人と歩くのに恥ずかしくない格好を。彼のイケメン具合に振り向く人たちに後ろ指を刺されるのはゴメンだ。


翌朝の私はいつもの休日のように振舞った。友達と出かける時みたいに朝ごはんを食べ、着替えてメイクをした。

11時。一人暮らしのマンション前に、見慣れた高級車が止まった。彼は迷わずここに辿り着けたことだろう。社長は社員の住所なんて当たり前に把握できる。プライバシーもへったくれもあったもんじゃないのだ。

社長は降りてきて、爽やかな笑みで駆け寄る。たまたま、本当にたまたま、社長もナチュラルな服装であることにほっとする。ほんと、黙っていればカッコイイ。
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