強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
正直言って映画は面白かった。世界滅亡、最初はなんて非現実的なテーマなんだと思っていたけれど、主人公が愛する家族を守るため陰謀に立ち向かうストーリーは感動したし、敵を次々に倒していくアクションシーンは思わず見入ってしまった。最後には一度別れた恋人とも再会して…ハッピーエンド。

満足感いっぱいで隣を歩く社長を見やると、彼は少し赤い目をしている。

「社長…泣いたんですか」
「うるさい。ちょっとうるっときただけだ」

えー、絶対泣いたじゃん。鼻声ですよ。ただアクションにワクワクするだけじゃなかったんだな、と意外な一面。

「…ヘンリー強すぎだろ。別れてからも一途に思い続けるソフィアも良かった」

思い出したのかまた瞳に涙を溜めて鼻をすするから、私は吹き出した。

「社長、泣きすぎです。一人の時もそんなに泣くんですか」
「いや、いつもは我慢してる。さすがにいい歳した男が映画館で号泣はないだろ。今日は芹澤がいるせい。感想を聞いてくれるやつが隣にいるからだ、多分」

多分なんかい。社長は上を向いたり目頭を抑えたりしながらなんとか涙を引っ込めると、鼻声のまま言った。

「飯、超ハンバーガーの気分なんだけど、芹澤は?」

ハンバーガーって。それはまさしく今の映画のヘンリーの好物。食べているシーンがよく出てきた。影響されすぎでしょ。…まあ私も、人のこと言えないんだけどね。

「…実は私も、途中からハンバーガーが食べたくて仕方ありませんでした。だってヘンリー、めちゃくちゃ美味しそうに食べるから」
「だよな! あれは飯テロまであるよなぁ」
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