強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
その日宿泊するところは椿不動産が大きく躍進するきっかけにもなった高級旅館で、私たち4人は一人一部屋というVIP待遇。

広くて気兼ねなく過ごせる反面、部屋食だと寂しすぎるのではということで夕食は旅館内の料亭を予定していた。

なのに、時間になっても社長が部屋から出てこないのだ。
社長に声をかけてから行くと桐谷部長と清水さんに伝え、私は隣の部屋の前に立つ。

「社長、夕飯の時間ですよ。桐谷部長と清水さんは先に行ってるって…」

声をかけて呼び鈴を鳴らしても、返事がない。寝てる…?この短時間で?それともまさかまた倒れてるんじゃ…!

「社長!開けますよ!」

バンっと旅館には似ても似つかない音を立てて襖を開ける。瞬間、目の前に現れたその鍛えられた体躯に、私は悟った。

嵌められた……!

すぐに襖を閉めようとするものの、間もなく体ごと客室に引き寄せられる。
背後で襖が閉まる音を聞く。呆気なく社長の手の内に捕らえられ、バクバクとはやる鼓動。

今日1日、予想外にも真面目に仕事をしていたから油断してた…!

「やっとふたりきりだ。どこ行ってもダブルデートみたいになるからさぁ。芹澤不足で倒れるとこだった」

そりゃ仕事ですからね。てかデートって!
ツッコミどころ満載だが、奇しくも理由は違えど社長の安否を心配してしまった私が引っかかる形でこの状況を招いていることに、当然のように私を抱きしめる社長に腹が立つ。
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