強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
「涼、甘いよ。誓約書とか書かせるべきだろ」
「誓約書って…書面にまで残したくありません。あの人の痕跡を」
「それもそうか。 涼が好きなのはあいつじゃないんだもんな」

社長はにやりと笑って私を見下ろす。
私はどくどく鳴る心臓を無視して、わざと論点をずらしてみる。

「…助けてくれてありがとうございます。社長」
「それはいーからさ。 誰が好きなのか教えてくれない?」

この胸の高鳴りが、気の所為でも勘違いでもないのだと知ってしまう。恋ではないと言い逃れられない。

「…社長、です」

ちらりと彼を窺うと、社長はうーんと唸っている。納得してないって顔ですね。
ああ、もう!

「椿一静さん! あなたが好きです!」

なに、なんで何も言わないの!?
しばし間が空いて、それから彼は片手で顔を覆う。隠れていない耳は、赤く染っていた。

「やべー、想像以上の威力。こんなに嬉しいなんて聞いてねー」

自分で、言わせたのに…!ただでさえ恥ずかしくて穴があったら埋まりたいのに、社長まで照れたら収集つかないじゃないですか…!
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