スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
(はは……。私、何も変わってないな)
貢に守ってもらっていた学生時代から、なんの進歩もしていない自分に呆れてしまう。
今だって誰かが助けに来てくれないかと、一縷の望みに縋ろうとしている。
(このまま大人しくホテルに連れ込まれるなんて嫌っ……!)
これまでの不甲斐ない自分と決別すべく、結乃は最後の抵抗を試みた。
地面から起き上がると同時に兵頭に体当たりをする。
「うおっ!」
兵頭が体勢を崩した隙をつき、脇を素早くすり抜ける。
角を曲がった先にある交番まで逃げられればなんとかなるかもしれない。
そう思った矢先、ブラウスの首根っこを掴まれる。
兵頭は結乃が想定するよりもずっとタフで足が早かったのだ。
「このっ!なにしやがる!」
右手が振り上げられ、殴られると覚悟したそのときだった。
「結乃ちゃん!」
「柊登さん……っ!」
柊登が二人の間に割って入ると、兵頭は突き飛ばされたはずみで尻餅をついた。
「彼女に何をしようとした!」
柊登の息は乱れ、いつも綺麗に整えられていた髪が崩れていた。
結乃を必死で探しまわっていたに違いない。