スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
「あの人達は……」
「結乃ちゃんを探すのを手伝ってくれたんだ」
彼らは貢の昔の『ヤンチャ』仲間で、時々ノエルまでケーキを買いに来てくれる。結乃とも顔馴染みだ。
「離せ!俺がっ!俺が先に見つけたんだ!」
唾を飛ばしながら必死で叫ぶ姿は、あまりにも滑稽だった。貢の仲間は手際よく偽物を連行していってくれた。
「間に合ってよかった……。結乃ちゃんが店からいなくなった時は心臓が止まるかと思った」
柊登は心底安堵し、結乃に声をかけた。
先ほどまで、息の根を止めかねない恐ろしい顔つきで偽物を見下していたとは思えない。
「あ、あの……」
一度に色々なことがありすぎて、頭がまだ混乱している。
――柊登が来てくれた。
ホッとすると同時にガクンと足の力が抜けていく。
「結乃ちゃん!」
膝から崩れ落ちそうになる身体を柊登がとっさに受け止めてくれた。
結乃は拠り所を求めるように柊登のシャツをぎゅうっと掴んだ。
「怖かった……。あ、あの人、柊登さんのお店を保健所に通報するってい、うから……。わ、私……!」
涙ながらに訴えると柊登はしばらく思考を停止させたあと、悔しそうに歯ぎしりした。
「クソ!二、三発殴ってやればよかった……!」
柊登はそう言うと、より一層強く結乃を抱き締めてくれた。