スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
「俺はダメな男だ……」
柊登は右手で髪をクシャリとかき乱し、困ったように額を押さえながら結乃を見下ろした。
「このまま家に帰すべきなのに、帰したくない」
欲望と苦悩がないまぜで苦しげな表情なのに、結乃を見つめる瞳だけが爛々と静かな炎をたたえていた。
ドクンと心臓が大きく脈を打った。
「彼女さんがいるんじゃ……?」
「彼女?まさかワイドショーを鵜呑みにしてる?あんなのデマだよ。彼女とは古い友人ってだけ」
「じゃあ、好きって言ってもいいですか?」
結乃が驚きながらそう言うと、柊登は一瞬だけ面食らったあとに破顔した。
「俺も結乃ちゃんが好きだよ」
そう言うが早いか、一瞬のうちに唇を奪われる。
結乃にとってはファーストキスだ。
初めての衝撃も冷めやらぬまま二度三度と口づけが繰り返され、結乃は息も絶え絶えになった。
「柊登さん……」
目がとろんとなったころ、辛抱たまらなくなった柊登は結乃を抱き上げ寝室へと連れていった。
リビングは綺麗に整えてあったが、寝室にはどことなく生活感があった。
シーツは起きたてのまま乱れており、マットレスの上には結乃も見慣れたスウェットが脱ぎ捨ててあった。
柊登の匂いがそこかしこからする空間に、自分がいることがまだ信じられない。