このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
 アルベルトはトリシャからこっぴどく叱られているようだ。マリアンヌの泣き声は落ち着いてきたのに、アルベルトが嗚咽を漏らし始める。
「トリシャ様、マリアンヌは大きな怪我もありませんし」
「まりぃ、ごめんなさい」
 次からやらなければそれでいいのだ。
「マリーも驚いただけですよ。ですが、やはりぶつかると痛いですから。気をつけてくださいね」
「まりぃ、いたいのいたいの、ごめんなさい」
 アルベルトが手を伸ばして、マリアンヌの頭をなでた。
 落ち着きを取り戻したマリアンヌは、うつらうつらとし始める。
「アルベルト様、マリーはそろそろお昼寝の時間のようです」
 イリヤの腕の中で、マリアンヌは鼻水を垂らしながら眠っていた。
 そうなるとアルベルトも眠そうに目をこすり始める。トリシャがメイドを呼んで、アルベルトを預けた。
「マリアンヌ様もお預かりしましょうか?」
 メイドはそう声をかけてくれたが、イリヤはそれを断った。多分、今はイリヤの腕の中のほうが眠ってくれると思ったからだ。寝台におろした途端、起きそうな気がした。
 そのままマリアンヌを抱いたまま、四人は他愛のない話をした。
 だが、トリシャはエーヴァルトに政務をきちんとこなして、クライブに迷惑をかけないようにとビシッと言ってくれたのは大きいだろう。
 クライブが顔をほくほくと輝かせていた。これでトリシャとクライブの仲が少しだけ改善されるとよいのだが。

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