このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
さらりと答えて、ケーキをぱくりと食べた。
「その閣下からの伝言です。陛下にきちんと政務をこなすようにと伝えてほしいとのことです。政務をさぼるようであれば、マリアンヌは連れてきません、と。閣下は何度もそう言っているようなのですが」
「わかったわ。あのクライブのことだから、へそを曲げたら本当にマリアンヌを独り占めしそうよね。もちろん、イリヤもね」
ぱちんと片目を瞑ったトリシャであるが、イリヤを独り占めしたところで、あのクライブにうま味があるとも思えない。
「ぅわ~ん」
マリアンヌの泣き声が聞こえた。すると、周囲の調度品がふわふわと浮き始める。
「え?」
イリヤはおもわずマリアンヌを振り返る。クライブとエーヴァルトは慌ててマリアンヌを宥めているが、彼女が泣き止む様子はいっさいない。
「ぼく、わるくないもん」
たいてい子どもはこう言うもの。トリシャも慌てて立ち上がり、アルベルトに話を聞きにいく。
イリヤはマリアンヌを抱きかかえると、背中をぽんぽんと叩きながら宥める。
「何があったんですか?」
話が聞けそうな成人男性二人を見やる。それでも、そう問うた口調は厳しい。
「すまない、イリヤ嬢。アルベルトが、座っていたマリアンヌを押した」
エーヴァルトのその説明だけで、何が起こったのかが容易に想像できた。妹たちもよくやっていたものだ。おすわりができた赤ん坊を押して後ろに倒す。
「まぁ、よくあることですから。そうやって加減を覚えていくのですよ。何をどうしたら痛みを感じるのか、怪我をするのかって」
「その閣下からの伝言です。陛下にきちんと政務をこなすようにと伝えてほしいとのことです。政務をさぼるようであれば、マリアンヌは連れてきません、と。閣下は何度もそう言っているようなのですが」
「わかったわ。あのクライブのことだから、へそを曲げたら本当にマリアンヌを独り占めしそうよね。もちろん、イリヤもね」
ぱちんと片目を瞑ったトリシャであるが、イリヤを独り占めしたところで、あのクライブにうま味があるとも思えない。
「ぅわ~ん」
マリアンヌの泣き声が聞こえた。すると、周囲の調度品がふわふわと浮き始める。
「え?」
イリヤはおもわずマリアンヌを振り返る。クライブとエーヴァルトは慌ててマリアンヌを宥めているが、彼女が泣き止む様子はいっさいない。
「ぼく、わるくないもん」
たいてい子どもはこう言うもの。トリシャも慌てて立ち上がり、アルベルトに話を聞きにいく。
イリヤはマリアンヌを抱きかかえると、背中をぽんぽんと叩きながら宥める。
「何があったんですか?」
話が聞けそうな成人男性二人を見やる。それでも、そう問うた口調は厳しい。
「すまない、イリヤ嬢。アルベルトが、座っていたマリアンヌを押した」
エーヴァルトのその説明だけで、何が起こったのかが容易に想像できた。妹たちもよくやっていたものだ。おすわりができた赤ん坊を押して後ろに倒す。
「まぁ、よくあることですから。そうやって加減を覚えていくのですよ。何をどうしたら痛みを感じるのか、怪我をするのかって」