このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
そうやってお披露目の儀もパーティーも無事に終わったというのに、その十日後には西のミルトの森へ足を運ぶことになった。もちろん、目的は魔物討伐。
イリヤはマリアンヌを抱っこしながら、馬車に揺られている。
「私、絶対に嫌がらせだと思うんですよね」
「ばっばっば~」
馬車はミルトの森にもっとも近い、オロス侯爵領へと向かっていた。
「間違いなくリグナー公爵の嫌がらせだ」
隣に座るクライブも腕を組んでむっつりとしているのは、イリヤを巻き込んで悪いと思っているからだ。そして今日も眼鏡はかけていない。あれ以降、彼は眼鏡をかけるのをやめた。
「ま、どうせ早かれ遅かれ。ミルトの森に行かなければならなかったんですよね」
「ね、ね、ね~」
「時期尚早であると、オレは言ったんだが……聖女様がこの国の女性であったのなら何も問題ないのではと、アレが言いやがった」
クライブの言葉の節々には棘がある。そしてアレとはもちろんリグナー公爵を指している。
「まあ……魔物をぱぱっとやっつけて、帰ればいいわけですよね?」
「……そうだが。だが、イリヤは聖女だと思われている。すぐに魔物が増えても、体裁が悪い」
「そう言われましても……魔物を倒す魔法なら使えますけれども、瘴気を祓う力はありませんからね」
「とりあえず、一匹残らず蹴散らしてくれ」
先ほどからマリアンヌの顔は、右を見て、左を見て、右を見てと、クライブとイリヤを交互に見ていた。
イリヤはマリアンヌを抱っこしながら、馬車に揺られている。
「私、絶対に嫌がらせだと思うんですよね」
「ばっばっば~」
馬車はミルトの森にもっとも近い、オロス侯爵領へと向かっていた。
「間違いなくリグナー公爵の嫌がらせだ」
隣に座るクライブも腕を組んでむっつりとしているのは、イリヤを巻き込んで悪いと思っているからだ。そして今日も眼鏡はかけていない。あれ以降、彼は眼鏡をかけるのをやめた。
「ま、どうせ早かれ遅かれ。ミルトの森に行かなければならなかったんですよね」
「ね、ね、ね~」
「時期尚早であると、オレは言ったんだが……聖女様がこの国の女性であったのなら何も問題ないのではと、アレが言いやがった」
クライブの言葉の節々には棘がある。そしてアレとはもちろんリグナー公爵を指している。
「まあ……魔物をぱぱっとやっつけて、帰ればいいわけですよね?」
「……そうだが。だが、イリヤは聖女だと思われている。すぐに魔物が増えても、体裁が悪い」
「そう言われましても……魔物を倒す魔法なら使えますけれども、瘴気を祓う力はありませんからね」
「とりあえず、一匹残らず蹴散らしてくれ」
先ほどからマリアンヌの顔は、右を見て、左を見て、右を見てと、クライブとイリヤを交互に見ていた。