このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「本当の悪女であれば、面接で悪女とばれるような態度は取らないかと思います。本当の悪女は人の知らないところで、それとなくばれないように行動するのです。ですから、噂になっている時点で悪女は悪女ではないのですよ」
「なるほど。お前が面白い女ということだけはわかった。さすがマーベル子爵の娘だ」
この場合、どちらのマーベル子爵を言っているのかがわからない。だけど、それを追求するのはやめておこうと思った。
鉄紺の重々しい扉には、金で葡萄の蔦のような模様が描かれている。クライブは、葡萄の形をあしらった叩き鐘をゆっくりとたたき付けた。
――ぎゃ、ん、ぎゃぁあああ……。
中から微かに何かの叫び声が聞こえてきた。そして、返事はない。
それでもクライブは勝手に扉を押し開き、中へと入った。
ガシャン――
バキッ――
きらびやかな部屋には似合わない音がする。その結果なのかどうかはわからないが、長椅子は倒れ、テーブルもひっくり返っている。
「……ん、ぎゃぁ。おぎゃぁ、おぎゃぁ」
「あぁ、よちよち。泣くんじゃないよ。どうちたのかな? お腹が空いたのかな? それともおしめ?」
大泣きしている赤ん坊をあやしているのは絹糸のような銀髪の男である。
「イリヤ・マーベル。お前は魔法が使えるな?」
クライブの言葉に、心臓がドクンと大きく音を立てた。
今まで家族以外、誰にも言ったことがないはずなのに。
「いったい、何をおっしゃっているのでしょう? はは、ははははは……」
「なるほど。お前が面白い女ということだけはわかった。さすがマーベル子爵の娘だ」
この場合、どちらのマーベル子爵を言っているのかがわからない。だけど、それを追求するのはやめておこうと思った。
鉄紺の重々しい扉には、金で葡萄の蔦のような模様が描かれている。クライブは、葡萄の形をあしらった叩き鐘をゆっくりとたたき付けた。
――ぎゃ、ん、ぎゃぁあああ……。
中から微かに何かの叫び声が聞こえてきた。そして、返事はない。
それでもクライブは勝手に扉を押し開き、中へと入った。
ガシャン――
バキッ――
きらびやかな部屋には似合わない音がする。その結果なのかどうかはわからないが、長椅子は倒れ、テーブルもひっくり返っている。
「……ん、ぎゃぁ。おぎゃぁ、おぎゃぁ」
「あぁ、よちよち。泣くんじゃないよ。どうちたのかな? お腹が空いたのかな? それともおしめ?」
大泣きしている赤ん坊をあやしているのは絹糸のような銀髪の男である。
「イリヤ・マーベル。お前は魔法が使えるな?」
クライブの言葉に、心臓がドクンと大きく音を立てた。
今まで家族以外、誰にも言ったことがないはずなのに。
「いったい、何をおっしゃっているのでしょう? はは、ははははは……」