このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
イリヤも慌てて腰を折った。クライブがあれだけ陛下陛下と言えば、目の前の銀髪男が、マラカイト王国の国王であると気づく。それに、デビュタントのときも挨拶を交わしたのだ。
「マーベル子爵家にはいろいろと悪い噂が流れているようだが……」
使用人がやってきて、国王の腕の中の赤ん坊を預かっていく。
「……ふぅ。とりあえず、休ませてくれ。クライブ、これをなんとかしてくれ」
これとはひっくり返った調度品を指す。
「でしたら」
どうせ隠し通すことのできない力だ。ここまできたなら、有効に活用したほうがいいだろう。
イリヤが指をパチンとはじいた。すると、ひっくり返っていた調度品たちは元のあった場所に戻ろうと勝手に動く。
部屋はどうにかして元に戻った。それを目にした国王は、長椅子にどさりと身体を預けた。
「お茶でも飲まれますか?」
クライブが尋ねると「頼む」とだけ返ってくる。
イリヤはどうしたらいいかがわからず、その場に突っ立っていることしかできない。そんな彼女にクライブが声をかける。
「詳しい話をしたい。陛下の前に座れ」
「は、はひっ」
状況もよく飲み込めない。そのためか、声が変に裏返ってしまった。
使用人がやってきて、テーブルの上にはお茶やらお菓子やらがあっという間に並べられていく。
「みっともないところを見せた。改めて挨拶をしよう。私は、エーヴァルト・マラカイト」
イリヤもその名は知っている。やはり、目の前の彼は国王だった。年は、クライブと同じ二十四歳であると記憶している。この二人は、幼い頃から兄弟のように心を通わせているというのも有名な話である。
「マーベル子爵家にはいろいろと悪い噂が流れているようだが……」
使用人がやってきて、国王の腕の中の赤ん坊を預かっていく。
「……ふぅ。とりあえず、休ませてくれ。クライブ、これをなんとかしてくれ」
これとはひっくり返った調度品を指す。
「でしたら」
どうせ隠し通すことのできない力だ。ここまできたなら、有効に活用したほうがいいだろう。
イリヤが指をパチンとはじいた。すると、ひっくり返っていた調度品たちは元のあった場所に戻ろうと勝手に動く。
部屋はどうにかして元に戻った。それを目にした国王は、長椅子にどさりと身体を預けた。
「お茶でも飲まれますか?」
クライブが尋ねると「頼む」とだけ返ってくる。
イリヤはどうしたらいいかがわからず、その場に突っ立っていることしかできない。そんな彼女にクライブが声をかける。
「詳しい話をしたい。陛下の前に座れ」
「は、はひっ」
状況もよく飲み込めない。そのためか、声が変に裏返ってしまった。
使用人がやってきて、テーブルの上にはお茶やらお菓子やらがあっという間に並べられていく。
「みっともないところを見せた。改めて挨拶をしよう。私は、エーヴァルト・マラカイト」
イリヤもその名は知っている。やはり、目の前の彼は国王だった。年は、クライブと同じ二十四歳であると記憶している。この二人は、幼い頃から兄弟のように心を通わせているというのも有名な話である。