このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「それで、求人票を見て、こちらに来たのだよな?」
「あ、はい」
イリヤはエプロンワンピースの前ポケットから、求人票と紹介状を取り出した。先ほどから乱暴に扱われているため、ぐちゃぐちゃである。
「こちらで家庭教師を募集しているという求人を見つけまして……」
「うん。間違いなく募集はしている」
「うわぁ。よかった……あの門番さんも、この求人票が嘘とか言いまして。ちょっと不安だったのです。ですが、宰相閣下に助けていただき……ありがとうございました」
いつの間にかエーヴァルトの隣に座っているクライブに向かって、イリヤは頭を下げた。考えてみたら、あの場で彼に助けてもらってから、礼を口にしていなかった。
「なんだって、かわいらしいお嬢さんじゃないか。ね? クライブ。噂とは異なるな」
エーヴァルトはクライブに顔を向けて、ニヤニヤと笑っている。
「あの……ところで、なぜ閣下は私が魔法を使えると、知っていたのですか? その件は、絶対に他の人に知られてはならないと、両親からはきつく言われておりました」
魔法――それは、魔力と呼ばれる普通の人間にはない力を用いて、現象を起こすこと。物を動かすのはもちろんのこと、火のない場所で火を起こしたり、風のない場所に風を吹かしたりすることもできる。他にも、動物を眠らせたり、拘束したりすることも可能だが、その命を奪うことだけできない。
魔法を使える者は、ある種族の血を引く者のみとされ、今ではその者も限られている。王族はその血を引くとされているが、それ以外の者たちはよくわからない。国王が魔法を使えるかどうかは、確認していない。
「あ、はい」
イリヤはエプロンワンピースの前ポケットから、求人票と紹介状を取り出した。先ほどから乱暴に扱われているため、ぐちゃぐちゃである。
「こちらで家庭教師を募集しているという求人を見つけまして……」
「うん。間違いなく募集はしている」
「うわぁ。よかった……あの門番さんも、この求人票が嘘とか言いまして。ちょっと不安だったのです。ですが、宰相閣下に助けていただき……ありがとうございました」
いつの間にかエーヴァルトの隣に座っているクライブに向かって、イリヤは頭を下げた。考えてみたら、あの場で彼に助けてもらってから、礼を口にしていなかった。
「なんだって、かわいらしいお嬢さんじゃないか。ね? クライブ。噂とは異なるな」
エーヴァルトはクライブに顔を向けて、ニヤニヤと笑っている。
「あの……ところで、なぜ閣下は私が魔法を使えると、知っていたのですか? その件は、絶対に他の人に知られてはならないと、両親からはきつく言われておりました」
魔法――それは、魔力と呼ばれる普通の人間にはない力を用いて、現象を起こすこと。物を動かすのはもちろんのこと、火のない場所で火を起こしたり、風のない場所に風を吹かしたりすることもできる。他にも、動物を眠らせたり、拘束したりすることも可能だが、その命を奪うことだけできない。
魔法を使える者は、ある種族の血を引く者のみとされ、今ではその者も限られている。王族はその血を引くとされているが、それ以外の者たちはよくわからない。国王が魔法を使えるかどうかは、確認していない。